2015年1月15日木曜日

樫本大進コンサート

今日は1日オフ、頭のてっぺんの白髪が目立つので美容院に予約を入れた。
明日の樫本大進のコンサートの前に行くか、今日にしようか迷ったけれど、後の時間を気にせずにゆっくり出来るから今日の内にと思って出かけた。
美容院の前のパン屋さんで買い物をして、家に帰る電車の中で携帯を見たら友人から「今日はコンサートの前に食事する?」とメールが入っていた。
ん、今日?
コンサートは明日でしょうが。
だって今日は14日じゃないの。
午後から、日曜日のコンサートの練習をするつもりだし。

家に帰ってカレンダーを見たら、見事に間違えていた。
今日は15日だ、ひえ~。
動揺して、買ってきた堅いフランスパンを切っていたら、左手の人差し指まで一緒にカットしてしまった。
血が出るし痛いし、練習は取りやめ。

どうして1日飛んでしまったのだろうか。
どうしても納得いかない。
この日はこれをしたでしょう?
次の日はあれをどうして・・・火曜日には、えーと。
なんて考えていたらやっと空白の1日を発見。
メールもらって良かった。
そうでなかったら、聞き逃すところだった。
いよいよ私も怪しくなってきた。

ヴァイオリン 樫本大進
ピアノ    エリック・ル・サージュ

フォーレ「ソナタ」
プーランク「ソナタ」
フォーレ「ロマンス」
フランク「ソナタ」      サントリーホール

フランスものばかりのプロで、ピアニストはフランス人。
昨日テレビニュースで言っていた、京都の交通標識に悪戯をしたアーティストもフランス人。
彼の名はクレ・アブラーム。
アナウンサーがその名前に氏を付けるものだから、アブラーム氏。
さんと言えばいいのに。
それとも著名な芸術家なのかしら。
油虫油虫って、なにを言っているのかと思った。

戯言を言っていると大進さんに悪いからこのへんで。

そう言えば私はまだプーランクの「ソナタ」を弾いた事がない。
楽譜は何年も前からピアノの上で待機中。
上から他の楽譜に押し潰されて、さぞ苦しいことだろう。
そろそろ練習してあげないといけない。

さて演奏はピアニッシモで始まった。
ピアノのメロディーが微かに聞こえ初め、そこにヴァイオリンが郷愁を感じさせる美しい旋律で絡んでくる。
もうそこから、別世界が始まった。
まだ若い頃の樫本さんの演奏を初めて聴いた時、なんてスケールが大きいのかと感心したけれど、ただ大きいだけでなく、繊細きわまるガラス細工のような面も、今回堪能した。
サントリーホールの上手側のサイド席。
ちょうど正面に演奏者の顔が見える位置だったので、右手の動きや表情も見えて楽しかった。
ヴァイオリンもピアノも、蕩けるような美しい音色。
ピアニシモになると会場中が息を潜めて、まるで深海の底に居るような深みに降りていく。
曲が終って静まりかえる瞬間が好き。
その後で拍手がわき起こる。

かつての日本の聴衆は拍手が下手で、演奏が終った途端知ったかぶりの拍手をする輩がいた。
シーンと静まりかえって余韻を楽しんでいるときに、タイミング悪い拍手をされると、殺意を覚えたものだった。
最近はそういうマナーの悪い人は居なくなって、ほんとうに嬉しい。
もう20年くらい、あるいはもっと前だけど、ペーター・シュライヤーの「冬の旅」を聴いた時、絶望の淵に沈む悲しい旅人の歌が終らないうちに「ブラボー」が出たことがあって、しかもそれが終わりから2番めの曲で、早とちりのその赤っ恥男が傍に居たら、頭から水をかけてやりたいと思った。
そのお陰で、コンサートの思い出はめちゃくちゃ。
今でも思い出すと腹が立つ。

今日は皇后美智子様もご来臨された。
ため息が出るほど美しい方だった。


























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