2015年8月16日日曜日

ノラネコ

夕方散歩に出たら一匹のネコを見てしまった。
黄昏時のボンヤリした光の中でも、そのネコが弱っているのが見てとれた。
近所の中学の校庭のフェンスの中。
チッチと舌をならすとこちらを向いた。
薄明かりの中で目が白く濁って見えた。
あれ、もしかして目が悪くて動きがとれないのでは?
学校は今お休みだし、広い校庭を突っ切って行く勇気は無かった。
それに学内に勝手に入ってはいけないのではないか。
表に回ってみても、事務所らしき所に明かりはついていない。
学校は無人だと、とても恐ろしい。
その中学校はとても敷地が広く、途中で見とがめられて騒ぎになるのも嫌だし。
グズグズと決断出来ずにいた。

次の早朝、昨日見かけた場所を覗くと、勿論いつまでも同じ所に居るわけはない。
見当たらないので、校外に出たと思われた。
それで行き過ぎようとしたら、いた!
サッカーのゴールらしい器具が校庭の片隅に折りたたまれている所に歩いて行って、こちらに背中を向けてじっと広い校庭を眺めている。
その日は大気が不安定で、午後から雷の予想。
でも私は朝から出かけなければいけない。
保護しようにも時間がない。
無事を祈って、出かけた。

そして今朝、同じ場所を見たけれど見当たらない。
今度こそ見つけて保護しようと思って、校舎の外側をぐるりと回った。
何回も金網越しに覗き込み、立ち止まってじっと奥を覗き込む。
人に見られたら不審者だね。
もし今日事件が発生したら、私の容貌、風体、憶測年齢などがテレビで放送されるかもしれない。

目撃者(49才男性)の談話
「その人は小柄で、帽子を目深に被っていたから顔はよく見えませんでした。たぶん口元のシワから見て、90才は越えていると思いますよ。帽子の陰からギョロッと見られた時には震え上がりました。相当凶暴な様子で。ええ、無事で良かったです。捕まったらなにされたか」なんて。
アナウンサー
「ご無事で良かったですねえ。あの辺は山姥がいるので有名ですから。たしか猫田魔さん(年齢推定100才)とかいう」

学校の周りをグルッと回って一番最後に、いた。
毛並みはボソボソ、痩せこけてだるそうにコンクリートの階段に寝そべっていた。
呼んでも来るわけないから、これは餌で釣るしかない。
急いで家に帰ったけれど、そこで10分のロス。
餌を用意して自転車を飛ばして、それで10分。
計20分くらい経ってしまった。
息せき切って駆けつけたけれど、すでにネコの姿は消えていた。
私がやたらと話しかけたのがいけなかったか。

それともみすぼらしいけれど、近所の飼い猫なのか。
夕闇で見た目の白さは錯覚で、ちゃんと目は黒々としていた。
私が1人で想像して、勝手に可哀相なノラネコに仕立て上げていたのかもしれない。
校庭に閉じ込められてファンスから出られないのではと心配したが、門は目の粗い金属の門扉。ネコなら悠々と出入り出来る。
広い校庭でゆっくり孤独を楽しんでいたら、へんなおばさんがうろうろして、うるさいったらありゃしない、とネコが言ったかどうか。

この時点で会えなかったから、もう心配するのはやめて、これが運だったと諦めよう。
実は目が悪いのではと思った時、先日死んだ我が家の守りネコ、モヤのことを思い出してしまったので、つい夢中になってしまった。
モヤの目は小さい頃の眼病が元で白濁して、片目は殆ど視力が無かったようなのだ。
ふと、モヤと同じだと思い、保護しなければと夢中になった。

ネコは家に閉じ込めて幸せに暮らせる者もいるけれど、生まれながらにノラだったら、下手すると幽閉されたと思うかも知れない。
やたらに手出しをしてはいけないと、亡くなった獣医のヒゲ先生から言われた。

きっと又明日も探しに行くと思うけれど、ノラを保護する前に私が通報され捕獲されてしまうかも。















2 件のコメント:

  1. 90歳なんて、nekotama様がそんな御歳にみえるわけないですよ。化け猫?じゃないんですから。でも猫田魔って、文字いいですね。ノラちゃんの病気が気になるのは、さすがに猫のことを知り尽くした猫田魔様。 縁があったら、きっとまた会えますよ。

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  2. 学校の中は夏休みの今、絶好のリラックスエリアなのでしょう。そこへ私が大騒ぎして、逆に邪魔してしまったかもしれない。ノラは逞しく生きているので、人間はかれらをそっとしておいた方が良いのですが。 ♫わかっちゃいるけどやめられない、アソーレ、スーイス-イスーダラダッタスラスラスイスイスーイ♫・・・なんて歌もありましたっけ。

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